ほのか | 留学を夢見る大学生の日記

4か国に留学した大学生が、経験や現在や夢や日々のことを残していく日記

「現代英語の等位構造 その形式と意味機能」レビューと感想

この本は、andを使った等位接続に関するもののほかにも多々書かれていますが、どれも非常に興味深い内容です。

 

この本は著者の博士論文をもとに書かれています。私は大学の学部生なのですが、数年後に私も書くであろう博士論文でこんな素晴らしいものを書ける気が全くしません。本のあらゆるところでこの研究の水準の高さを実感しました。そして研究とはこういうものだよということの、この本は模範的な実例です。

 

博士課程などに進学予定の学生(とくに言語学や英語学を専攻予定の方)は、この本の前書きを絶対に読むべきだと思います。前書きでは、英語がネイティブでない日本人という立場から英語を研究することについて書かれていますが、この著者のスタンスは、ノンネイティブだからと落ち込んだり怯んだりすることなく、むしろノンネイティブであることを活かした研究をしようというものです。日本の英語教育では、ネイティブから学ぶこと、ネイティブになるべく近くなろうとすること(かなり砕けた表現がネイティブのものだと偏重されたり、ネイティブの発音でないなら良くないと言われたり)が偏重されていますが、ネイティブでないということは英語という新しい面白い世界への扉を開かない理由にはならないよといったことがこの本の行間にはちゃんと書いてあります。

 

中古品しか手に入らず、新品が絶版なのがとてももったいないです。ぜひ大阪大学出版会はこの本の新品での再販と、英語などの外国語訳を真剣に考えてください。このような世界的名著が埋もれてしまうのは非常に惜しいことです。